最近は毎朝7時15分のスペイン語ラヂオを聞きながら脳を起こすのがぼくの日課だ。朝食にはハムとチーズのサンドイッチとコーヒーをいただいた。 シャワーを浴びて、こどもたちの英語の準備をしていると、すいませーん、とすでに我が家の戸を開けて中に入り、堂々と立っているおばちゃんがいた。(この田舎の習慣には慣れていかないといけない) そしてぼくがまるで誰かの家に入る時のように 「あの・・・」と尋ねるので、これでは主客転倒だと思い、主人らしくしてみる。手渡されたパンフレットと商品をみると、どうやらこのおばちゃんはヤクルトの方で、新しい商品の売り込みに来ているようだ。おばちゃんは少し世間話をしたあと、優しい方言で腸のお掃除について激しく説明し、一通り終えると満足げにかえっていった。 ぼくは部屋に戻り、喉がかわいたので試飲用のヤクルトをいただいてみた。
歯を磨いていると、「宅急便でーす」という声が聞こえた。中には相方が注文したベトナムの米麺、フォーが入っていた。インターネットや東京からの荷物が多い我が家には、宅急便のおばちゃんが出入りすることが最近増えてきている。
間髪入れず、ブルルルというエンジンの音がして、「ガスのメーターみていきまーす」という声が聞こえた。JAおおぞらと車のわきに書いてあった。「これは先月からのガス料金です」、といって「LPガス検針通知兼請求書」という紙切れを1枚手渡された。紙の下の方には、「毎度ありがとうございます。」と書いてあった。
雨が降りしきる田舎の景色を縁側から眺めていると、郵便のお兄ちゃんがバイクからおりて郵便物をポストに入れていった。父がおととい郵便を出したと言っていたのできっとそれに違いない。
キッチンに戻り、朝につくったコーヒーのあまりをレンジであたためなおしてすすっていると、今度は勝手口の方から、男の声が聞こえた。眉間にしわを寄せた40代の真面目一徹そうな男と、その後ろに傘をさし、背広を着た、暗い50代後半の男が立っていた。 ああ、もしかしたら明日は世紀末かもしれない、と思わせるほど二人の面持ちは暗かった。 「聖書の教えを広めています」と男は短くいった。 後ろの男はなぜか目をつぶっている。 この雰囲気からして、この男たちが世の中に幸福をひろめようとしているとは誰が信じるだろうか。 ぼくはなぜか咄嗟に、「すいません。今、味噌作りで忙しいんで」、と嘘をついてしまった。 二人は無表情に残念がり、慣れたように踵をかえし帰っていった。 神様、相方、嘘ついてごめんなさい。
1 comment:
少しずつ慣れて来ているようでなにより〜。by Emi
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