アメリカにいた頃、ぼくは毎日この黄色いスクールバスに乗り、学校へ通っていた。スクールバスはアメリカのシンボルでもある。
何故か運転手のおばちゃんは決まって口が悪く、後方の座席に屯う悪ガキたちを、大きな声で怒鳴り散らしていた。座席は深緑色のゴムシートで、ところどころ鉛筆で穴が開けられ、落書きがされていた。
ぼくは背がちっちゃくおとなしい方だったので、いつも前の方に座って外の景色を眺めていた。通学路には、大きな湖と、その周りに生える杉やメープルといった木々がみえた。
朝のスクールバスは子供達にとって学校までの憂鬱で苦痛な時間だった。しかし、帰路は一転して、まるでパーティーのようでもあった。早く家に帰って遊びたい、そんな子供達の願いを乗せていた。後ろのヤンチャな子供達がステレオ(カセットテープの)を持って、バスの後ろで大音量の音楽をかけていた。ビースティーボーイズやスティービーワンダー、ブライアンアダムス、ボンジョビといった、その時代のめいいっぱいカッコいい音楽をかけていた。
あの頃のぼくの日常は、デトロイトの景色やアメリカの音楽であふれていたんだなあ、と思った。
つづく
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